第66回 和風プラス猫「猫絵十兵衛御伽草紙」
さーて、今年も終わります。
皆様にとって、今年は
どういう年でしたでしょうか。
ゆく年もくる年も、皆様にとって
良い年でありますように。
今回のご紹介は「猫絵十兵衛御伽草紙」の
ご紹介。ごゆっくりご覧ください。
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猫は大まかに分類とすれば、
さて、和か洋か中か。
突然ですみませんが、
ちょっと考えてみてくれませんか。
猫は、和モノか洋モノか中華モノか。
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考えてみると良い事でも
あるのか、と思った方。
そんな性格じゃ人生楽しめませんよ。
もっといろんな事に身を乗り出してみなきゃ。
猫は、和か洋か中か。
猫は和か洋か中か、というのは、
決して種別のことを言ってるわけではなく、
「猫は和モノか洋モノか中華か」と
言ってるわけです。
この辺りのニュアンスを
解していただける方、
ぜひお友達になりましょう。
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こういった情緒に訴えかける質問には、
人の数程答えがあると思いますが、
私は猫は和モノだと思いますね。
和に限る。
猫は日なたに居てこそだし、
その下には座布団が無いと決まんないし、
やっぱりクッションとかだと
ちょっとアレだし。
てか、こたつにこそ猫が入ってないと
アレだし、猫には火鉢の横が似合うし、
火鉢とくればおばあちゃんだし
おばあちゃんとくれば猫だし。
というわけで、個人的に猫は和モノです。
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いや、洋モノだ。
暖炉の傍には猫だし、
外国のでっかい穀物倉庫や
ウイスキー工場なんかには
猫が付き物だ。
いや中華モノだ。
朝の太極拳には猫が付き物だ。
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と思ってる方々も、猫の和な感じという
雰囲気は分かっていただけると
勝手に判断して先に進めます。
猫の和な感じ。
「和」というのは得てして
古風な感じなもので、古風とくれば
「江戸」ということになるわけです。
ええ、なるわけです。
なりますよね。
と、いうことで勘弁していただきたく。
で、「和」「猫」「江戸」とくればこの本。
「猫絵十兵衛御伽草紙」という
コミックなわけです。
「ねこえじゅうべえおとぎそうし」ですよ。
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主人公は、若めの猫絵師さん。
鼠避けのための猫絵を描き、
それを売って生計を立ててる絵師さん。
画材を背負う箱の中には、一匹の猫。
三白眼で目つきの悪い三毛猫です。
猫又なんですけどね。
この三毛猫さん。
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この猫又三毛猫と絵師の十兵衛が、
猫に関する騒動に巻き込まれる物語。
程よく笑いあり、
程よくシリアスあり、
そして程よく涙あり。
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江戸ものだけあって、セリフ回しも
小粋だし、べらんめぇ口調が心地よい。
それがまた、猫に似合ってるんだなぁ。
なんか、「江戸」って
猫に合ってる気がしませんか。
猫と京。
猫と江戸。
猫と会津。
猫と江戸。
猫と長州。
猫と江戸。
ほらね。
なんとなく猫には「江戸」が
合ってる気がしませんか。
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猫という素材を活かすには、
「江戸」って最高の舞台の
ひとつなんじゃないかなぁ。
その江戸で、猫と人情が絡み合い、
ついでに猫又と御伽話も絡み合い、
何ともいえない小粋で瀟洒な世界。
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和モノと猫が好きな方には、
すごくツボな作品だと思うなぁ。
あと、猫が大変かわいい。
大変かわいく描かれております。
大掃除の合間の息抜きに、
この、和風な猫の物語は
いかがでしょうか。
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