第23回 静かできれいな写真集「ねこめぐり」
こんにちはー。
クリスマスイブの今日、どのようにお過ごしですか。
えりかのコラム23回目が始まりますよ。
今回は「ねこめぐり」、写真集のご紹介です。
とても素敵な写真集です。
では、ごゆっくりご覧下さい。
写真集のレビューって、難しいんですよー。
だって、写真一枚が表している世界を、
言葉で伝えなくちゃいけないんです。
一枚の写真を見て、「キレイだな」って
思う心を、伝えなきゃいけないんです。
それにはただ、「キレイな写真がたくさんの写真集です。」
なんて一言を書いても、誰の心にも伝わりません。
「キレイ」という言葉は使われすぎていて、
言葉の持つ意味が薄れてきているのです。
この写真集は、目に鮮やかな色彩や
目立つ構図の写真はあまりありません。
どちらかというと、渋い色合いの写真だったり、
目線そのまんまな構図だったり、写真としては
平凡なものが並んでいます。
けれども、私がこの写真集に心惹かれてやまないのは
猫の表情がとても「きれい」だからなのです。
そして、背景とのコントラスト。
極々平凡なはずのその写真が、はっとする程綺麗に
見える時があります。
ただ、猫が座っているだけの写真なのに、
ずっと見ていても飽きない。むしろ、ずっと
見続けていたいような、ページを捲る事に
そんな気になるのが、この「ねこめぐり」なのです。
「キレイ」と言うよりも、「きれい」。
この「ねこめぐり」、サブタイトルが
「にっぽん猫紀行」というだけあって、「和」なんです。
なので、背景や色だって渋くてなんだか心に染み入る色ばかり。
暖色系の色だって、桜や紅葉といった自然の色なんです。
そんな、自然の中にいる猫を求めて夫婦で日本各地を旅し、
出会った猫達を撮影して出来上がったのがこの「ねこめぐり」。
この本には写真ばかりではなく、短い文章が書いてあります。
写っている猫のことを説明している文章なのですが
どことなく懐かしい様な、なんとなく外国文学の様な、
そんな不思議な感じの文章です。
心にしっくりくる写真と相まって、とても居心地の良い
空間を作り上げています。
ページを開く、ということは、
その本の作り出す空間に入る、ということ。
この本のそれは、日本人の感性にぴったりで
とてもリラックスできる空間に仕上がっています。
薄れてしまった「きれい」という言葉の意味を
この本で再確認してみませんか。
おすすめです。
ねこめぐり
北は北海道、稚内から、南は沖縄、西表島。日本のすべての都道府県を訪ね、たまたま出会った猫たちの、自由な表情を収めた5000本を越えるフィルムから選んだ、121匹の気ままに生きる猫たち。彼らを通して、彼らを見守る心優しい「見えない人々」が写っているのです。その見えない人たちの思いが伝わってくる心温まる写真集です。
次回は1月7日更新予定!次回も是非見てくださいね!