第69回 大人のままでも「ねこのパンヤ」
いやー、寒いですねぇ。
立春の頃とはいえ、
まだまだ冷たい2月の風。
防寒対策をしっかりして
冷えないようにしてくださいねー。
今回のえりかのコラムは
「ねこのパンヤ」のご紹介。
ごゆっくりご覧ください。
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ちっちゃい頃、誰でも一度は
絵本って読みましたよね。
その時のこと、覚えてますか。
絵本を読んだ、一番古い記憶。
楽しかったですよねぇ。
字があんまり無くて、目を引く
面白い挿絵がたくさんついた
心躍らせてくれる一冊の本。
それがあの頃の絵本でしたよね。
でも、そんなに面白かった絵本とも
大きくなってくるにつれて疎遠になり、
気がつくと手元にある本は字がいっぱいの
文庫本になってたりして。
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でも、お子さんがいるお母さんやお父さん、
おじいちゃんやおばあちゃんなんかは
今でも絵本を読んだりしませんか。
子どもって、絵本を読んで
もらうの好きですよねぇ。
お気に入りの絵本を読んでもらうと
すぐ寝ちゃったりとか、逆に興奮しちゃって
もっともっとになっちゃったりとか。
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お父さんお母さん、ばあちゃんじいちゃんは、
そんなお子さんのために毎晩毎日絵本を
読んでいることと思います。ええ。
でも最近、自分のために
絵本を読んだことってありますか。
絵本集めが趣味なんですとか、
絵本を読むのが大好きなんですとか、
そういう方々じゃなければ、
絵本ってなかなか読む機会が
無いですよねぇ。
でも、たまには読んでみませんか。
いいもんですよ。たまの絵本って。
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で、ですね。
そんな「自分のための
絵本って久しぶりだなぁ」という方に
おすすめなこの絵本。
それが「ねこのパンヤ」なんです。
「パンヤ」という猫が
やってるパン屋のお話。
元々「ねこのパンヤ」という
キャラクターありきだったのですが、
キャラもの絵本と侮るのはあまりに惜しい。
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世界観がしっかりしていて、
それが土台にあるものですから
物語の中に引き込む力が物凄い。
それに加え、絵と文の描き込みが
細かいところにまで気が利いているので
否応なく想像力と食欲を刺激されます。
今「食欲」って書きましたよね。
間違いなく上で書きましたよね。
わたくし、「食欲」という話になると
普段よりも鼻息が荒くなってしまう
人間なのですがすみません。
すみませんがここからは鼻息を
荒くして語らせていただきます。
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パン屋を営むパンヤの絵本だけあって、
パンやその他の食べ物の描写が
抜群に素晴らしいのです。この絵本は。
パンヤが作るパンは、
「ねこのしっぽ」
「うさぎのしっぽ」
「にくきゅーパン」
などなど、子ども心どころか
純粋な大人心までも
くすぐるネーミング。
どんなパンなんだろう、
どんな味がするんだろうとか
思いますよね。
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それがねぇ、
しっかり描写されてますから。
暖色を主とした心が芯から
あったまる絵柄で、おいしそうな
パンやジャム、フルーツティーなどが
かわいくかわいく描かれており、
かわいいもの好きな乙女のハートを
がっちりキャッチ。
いや、かわいいものと甘いもの好きな
おじさん達のハートもがっちりキャッチ。
こういうおじさん達は、探せば案外多く
いるもんです。
で、そんなおいしそうでかわいいもの達が
たくさん集まるお茶会を開くって
お話なので、乙女もおじさん達も
大喜びなのではないでしょうか。
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森の仲間達に届いたお茶会の招待状。
受け取ったみんなは、おみやげを
持ってパンヤのお茶会に向かいます。
リスの一家は木の実を集め、
くまさんはハチミツを、
花屋の双子はバラのジャム。
大人になってからだって、
こういう世界に入り込むのは
悪いことじゃないですよねぇ。
童心に帰る、というよりも
大人のままでも楽しめるこの絵本。
読む前には、パンとお茶のご用意を。
読んだ後、絶対食べたくなりますから。
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