第42回 さあ聞いてみよう「ネコの気持ちを聞いてごらん」
9月も後半戦。
どんどん風が冷たくなってきてますねー。
この季節、風邪などひかぬようにご自愛くださいね。
さて、今回のえりかのコラムは、
またも加藤由子さん著
「ネコの気持ちを聞いてごらん」のご紹介。
ごゆっくりご覧下さい。
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前回に続いて、今回も加藤由子さんの本のご紹介。
「ネコの気持ちを聞いてごらん」という本です。
なんて良い題名なんでしょうか。
「ネコの気持ちを聞いてごらん」
この「ごらん」ってとこがまた素敵。
「ナントカしてごらん」や「さあ、ごらん」など。
「ごらん」という言葉を使うと、一気に洒落た
物言いになりますよね。
だからって多用してしまうと、ナナメ上からの
言葉になってしまうのでお気をつけください。
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言葉のチカラを引き出す、効果的な使い方の
一例を、この題名は見せてくれています。
この、やんわりと言い含める様な感じが、
なんとも言えず素晴らしい。
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さて。題名を褒めるのはこれまでにして。
それでは早速、猫の気持ちを聞きに
いってみましょうか。
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猫と暮らす日常のお話。
これじゃ、ただの猫エッセイ。
そしてこの猫エッセイに、加藤さん特有の
観察眼とユーモアをプラスすると、
めでたく「ネコの気持ちを聞いてごらん」が
誕生するのです。
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最初はフー。後からまる。これは呪文でも何でもなくて、
「フー」と「まる」という、加藤さんの飼い猫の名前。
フーは左後ろ足の無い猫。まるは片目が無い猫。
別に選んだわけじゃありません。
加藤さんちに来る猫は、偶然にもこういう特徴を
持った猫なのです。
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と書くと、ははーん、ハンデを背負った猫との
生活を書いているんだな、分かったぞ、と
思っちゃった方、それ、違います。
この本を読んでいて、フーに後ろ足が無いことやら
まるに片目が無いことやらは、そうと書かれなければ
すっかり忘れてしまうほど、そういったことは
問題にされていません。
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「フー」と「まる」という猫達と暮らし、
その観察眼で猫達の個性、気持ちを見抜く。
そして猫の習性を説明し、当てはめ、
当てはまらない時もあるけれど
それは「猫の気持ちを聞く」という作業。
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加藤さん、猫を物凄く溺愛しているので、
愛情表現がハンパじゃないんです。
誰にはばかることなく親ばかぶりを発揮し、
躊躇無く文章に表す潔さ。
けれど、「猫は薄情なやつだ」とも
言い切れる潔さ。愛情の見返りを、
自己満足の空想で補うことをしない潔さ。
加藤さんが書いたものは、
それが心地良くて、クセになりますよ。
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「猫の気持ちを聞いてごらん」
この本を読むと、加藤さんの様に猫を観察し
気持ちを聞く、という一連の作業を
自分でも試したくなること受け合い。
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普段、飼い猫が何気なくする仕草の中にも、
「猫の気持ち」がたくさん詰まってるのね、と
いうところに気付き、今更ながらしみじみしてしまったり。
気持ちを聞いてごらん、と言われれば
よし聞いてやろうじゃないか、と思うのが人情。
猫の気持ちなら、尚更です。
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ネコの気持ちを聞いてごらん
加藤家には、愛猫「フー」がいる。フーはホットカーペットを愛し、便秘と格闘し、飼い主といっしょの枕で寝て、部屋履き相手に喧嘩の日々―そんな加藤家に、ある日コギャル猫の「まる」がやってきたのだからもう大変。猫好きも思わず「ニャン!」とうなずく抱腹絶倒スーパーエッセー。
次回は9月30日更新予定!次回も是非見てくださいね!