第37回 猫と心の本「猫だましい」
こんにちはー。えりかです。
各地で大雨が降り続いてますね。
該当地域の皆さん、お気をつけくださいませ。
今回のえりかのコラムは「猫だましい」のご紹介。
ごゆっくりご覧下さい。
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この「猫だましい」
どういう本だと思いますか。
猫だましい、という題名から、
私はエッセイ本だと思いましたね。
今まで飼った猫のたましい、性格を
語ったエッセイ本だと思いました。
で、買って読んでみたら、全然違ってました。
今までに無かったタイプの猫本でした。
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ここで、ちょっと皆様にご質問。
今まで、このコラムで紹介された猫本がありますね。
皆様、どれかでも読んでいただけたでしょうか。
読んで無い方。
すみません。私の力不足です。
皆様が読みたくなるように、
これからもっとがんばります。
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読んでいただけた方。
ありがとうございます。
読んでいただけた方にとっての「猫だましい」は、
申し訳ないですが読んで無い方よりも、
2〜3倍は面白く読めるんじゃないかと思います。
今まで紹介してきた本は、
この「猫だましい」を紹介するための
布石だったんじゃないか、と思いましたね。
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この猫だましい、猫本の本なんです。
古今東西、世界中の代表的な猫本を、
心理療法士の著者が、心理学の方面から
読み解く一冊。
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このえりかのコラムで紹介した本も、
何冊か載ってるんです。
「空飛び猫」、「100万回生きた猫」、
ポール・ギャリコさん著作の本。
その他にも、「長靴をはいた猫」や「鍋島猫騒動」、
宮沢賢治の著作に登場する猫達や、
谷崎潤一郎の「猫と庄造と二人のおんな」
その他にもまだまだ猫本、猫話が載っています。
なんせ、ひとつの猫話解読を補佐するために、
よそから新しい猫話をひっぱってくるので、
巻末にある「参考文献」のページがとんでもないことに
なってます。それが全て猫のものですので、
猫本好きにはたまらない一冊、というわけです。
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それはいいから、どうやって猫の話を心理学的に
読み解くのさ、と思っている方。お待たせしました。
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例えば、長靴をはいた猫。
簡単に説明すると、長靴をはいた猫が、
粉ひきの息子をあの手この手で美しい王女と
結婚させるというお話です。
有名なお話なので、知っている方も多いでしょう。
それじゃですね。皆さんに質問です。
この猫は、どうして長靴をはいているのでしょうか。
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もちろん、物語の始めに猫が望んではいたものなんだけれど、
この長靴の意味、皆さんは考えたことがありますか。
「長靴をはく」ということにどういう意味があるのか、
心理学的にどういうことを表しているのか、
そう言われてみれば、知りたくなってきませんか。
考えたことは無くとも、不思議に思っていた方は多いでしょう。
そういうところをですね、心理学の立場から解明するのです。
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長靴をはいた猫のおかげで、粉ひきの息子と王女の二人は
幸せになったけれど、長靴をはかない猫によって導かれた
男女はどうなるのか。
長靴をはいているか、
はいていないかの違いも、きっちり検証。
源氏物語の中に、長靴をはいていない、普通の猫に
導かれた男女の話があるのですが、
国も時代も違うこの話を、「猫」というテーマで
切り結んでいるのがこの猫だましい。
そして、この「長靴を〜」の章で
紹介される猫話は、4つ。
4つもの猫話を一気に知ることができて、
長靴の謎も解明できる。そして、心理学的な
解釈までも読むことができるわけです。
100万回生きたねこの章では、
「チベットの死者の書」までひっぱり出して
生と死について論じています。
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オレ、ここに出てる猫話、全然知らないんだけど
ぜひ猫だましいを読んでみたいぜ、という方。
ご安心ください。
全ての猫話が、きちんと理解できる形で紹介されています。
源氏物語とか谷崎潤一郎とか読んだことない!と
いう方から、長靴をはいた猫ってナニ?という
ツワモノ様までどんとこい。
ストーリーの紹介で、3ページほども
平気で使っていて、しかもわかりやすく要約して
書いてくれているので、「ストーリーがわからない」という
前置きは、この本を読まない理由にはなりえません。
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皆様、どんな本かわかっていただけましたでしょうか。
この本の最初の方にですね、今まで長々と書いてきた文を、
たったの一文で表しているところがあります。
そこを引用しまして、今回のコラムをしめくくりますね。
「以後の章では、猫を主人公とする作品を基にして、
猫を通して人間のたましいについて語りたいと思っている。」
猫だましい
専門家・河合隼雄先生は、実は大のネコ好きです。今までに読んだ古今東西のたくさんの猫物語の中から、特にお気に入りのにゃんこ達を選んで、お話しいただきました。長靴をはいた猫、空飛び猫、鍋島の化け猫、100万回生きたねこ…ネコのことが分ると、ヒトの心も分る、かもしれませんよ。ネコ好きでは引けを取らない、大島弓子さんの感想マンガが付いてます。
次回は7月22日更新予定!次回も是非見てくださいね!