第44回 いちばん泣いた「私はネコが嫌いだ」
こんにちは。
今年は残暑が厳しかったですねぇ。
本当に秋めいてきたのは、
最近なんじゃないかと思います。
さて、今回のえりかのコラムは
「私はネコが嫌いだ」のご紹介。
ごゆっくりご覧下さい。
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本屋でこの本を見つけて、表紙の黒猫の可愛さと
題名の興味深さ、そして独特な絵に惹かれて、
私がこの本のページ捲ってしまったのが、
うちのティッシュの運の尽き。
その夜には、涙と鼻水とその他もろもろに
まみれてゴミ箱行きになるなんざ、
箱の底に近いティッシュ達は思わなかったでしょうな。
大体、中くらい残ってたんです。ティッシュ。
普通に使ってたら、あと一週間くらいは
持つだろうな、ぐらい。
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人よりかなり涙もろいのを自負してる私。
映画レベルだとティッシュ1箱は楽に使いますが、
全31ページ程の絵本で、ティッシュを1箱近く使ったのは
我が二十数年の人生の中で初めてなんじゃないか。
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何度も読み直しては、何度も泣き、
その度にティッシュを引きずり出し、
ビムビムしてポイ。
この絵本、買ってごらんなさい。
確実にこの光景があなたの家でもお手軽に。
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主人公は、お父さん。
娘さんがいるお父さん。
「頑固 です夫」とでも名札が付いてそうなお父さん。
「頑固 田蔵(だぞう)」でも、
シンプルに「頑固 一徹」でもいいです。
とにかく「頑固」だけは外せないな、というお父さん。
そのへんで見かけても、絶対に近づきたくないな、
近づいたらややこしいことになるだろうな、と
他人に思わせざるをえない風貌のお父さん。
苦虫常時口中在住のお父さん。
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ある日、娘さんが一匹の黒い子猫を拾ってきます。
娘さんも親に似て頑固なのか、ついに猛反対する
父親に、猫を飼うことを認めさせます。
このお父さんは、猫が嫌いなんです。
すんごく嫌い。めちゃくちゃ嫌い。とことん嫌い。
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だけど、飼ってしまったからにはしょうがない。
私はネコが嫌いだ、とかなんとかぶつぶつ言いながら
苦虫を常時モグモグしているような顔で
猫と一緒に暮らしているわけです。
そんな生活も、早15年。
相変わらず、お父さんはネコが嫌いだと言ってます。
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これから先、私は、あー、もー、その、私は、あー。
今、ティッシュを1枚、2枚。
2枚取り出して、涙をそっと拭う私。儚げな私。
読んでもないのに涙が出てくるなんざ、
この絵本全31ページのチカラは凄い。
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まず何と言っても、絵が可愛い。
表紙も可愛いですが、まず表紙をめくってみてください。
そこに書かれているその黒こねこっ!
私は正直、それ見た瞬間「このものを買う」と決めましたね。
優しく描かれた手に包まれている、手の平サイズの黒こねこ。
ほんと可愛いですから。見て損はしませんから。ほんとに。
そして内容は言わずもがな。
めでたく、うちの「絵本の殿堂本棚」に入りました。
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へぇ、どれどれ、と思った方。
立ち読みはおすすめしません。
まず買いましょう。
そして家に帰り、誰もいないとこで読みましょう。
途中で誰かに入ってこられないように、
部屋の鍵もかけておくと尚良しです。
もちろんティッシュは用意しておくんですよ。
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そして、読み終えたら
「反則っ! これダメっ! ずるいっ!」と
机に突っ伏して泣くがいいのです。
猫の愛され方を、きちんと解っている人が書いた絵本です。
そうなんです。猫はこのように愛されなければ。
猫好きが、これを読んで泣く確立、99.99%。
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次回は10月28日更新予定!次回も是非見てくださいね!