第46回 たまにはテイストを変えてみる「ニャ夢ウェイ」
こんにちはー。
11月最初のえりかのコラムです。
秋もそろそろ終わりです。
冬に入る準備は大丈夫ですか?
今回は松尾スズキ著「ニャ夢ウェイ」の
ご紹介です。ごゆっくりご覧下さい。
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この本、取り上げようかどうか迷いました。
だって、あまりにもネコジルシと
テイストが違いすぎる。
ネコジルシのほんわかムードと、
全くもって似つかわしくない。
例えて言うのなら、ホワイトクリームシチューに
ラー油を垂らすようなもん。
色から味から何から合うわけが無い。
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寒い冬。
極寒の地・北海道の、場所はそうだなぁ。
山の中のログハウスがいいかな。
家族揃っての食卓。もうもうと上がる湯気。
ママが作ってくれた、優しく輝く白い液体。
傍らには、赤い炎が温かそうなダルマストーブ。
スプーンですくうと、ぽってりとした感触。
じゃがいも、にんじん、たまねぎ。
野菜の味が溶け込んで、お肉のコクも加わって、
ホワイトシチューはみんなの口に次々と運ばれます。
外は寒い冬だけど、家の中とみんなのお腹はぽっかぽか。
ママの優しさと温かさが詰まったスープ、シチュー。
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それにラー油を垂らすんだから。
垂らしちゃうんだから。
新橋のガード下、うらぶれたラーメン屋かなんかで
ひしゃげたお父さんの餃子のタレに
一滴・二滴垂らされる、赤いギラギラした液体。
餃子とラー油は切っても切れない間柄。
餃子を食べたら、まず1〜2日は
面と向かって他人と話はできないね。
そんな餃子の美味しさを引き立てる
不思議な調味料、ラー油。
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シチューのまったりした味わいに飽きたら、
やっぱり餃子だよね。やっぱり餃子だよね。
2回書いちゃうよ。
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赤くてギラギラがなんぼのもんじゃい。
にんにく・脂どんとこい。
ラー油があるのと無いのでは、
味の締まりが全然違う。
ここまで書いたら、
なんだか餃子が食べたくなってきませんか。
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シチューは好きだけど、餃子は嫌いって方。
たまには嫌いなモノも食べてみましょうよ。
案外平気になってるかもですよ?
人間、生きてれば嗜好も変わってくるもんです。
ですので。
みなさん餃子も食べましょう。
ラー油をたっぷり垂らして、
みなさん餃子も食べましょう。
異文化に触れてこそ、世界は広がります。
ましてや、その異文化は美味しいわけです。
いつもいる世界とは、反対の極地だけれど
それはそれで美味しいわけです。
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松尾スズキ、って方ご存じですか?
わかんないや、という方。
多分、顔は知ってます。
名前を知らないだけです。
役者さんです。
変な人です。
結構いろんな作品に出ています。
顔を見れば、「あー、この人か」と
きっと得心がいくはずです。
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松尾さん、「オロチ」という猫を飼っています。
その猫を松尾さんがカワイイカワイイと言ってる漫画です。
変な人が、オロチ可愛さのあまり更に変な人に。
この本、松尾さんのことなので、絵も内容も
分かりやすく言うと「アングラ系統」です。
そんな、こことはテイストが全く違う人が、
どんな感じでカワイイカワイイしてるのか、
見てみたいと思いませんか。
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ただ、ひとつ言っておきます。
ラー油は、ピリッと辛くて、
子どもはあんまり使いませんね。
要は、大人向けの食べ物なわけです。
この「ニャ夢ウェイ」も、つまりはそういう事。
やたらめったら辛い、というわけではありませんが、
やっぱりちょっとピリッと大人のテイスト。
それを理解したうえで読んでくださいね。
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二極化すると思いますね。
絵も汚いし下品だし、どこが面白いんだ!と
憤慨する方と、やばい面白すぎる!という方と。
ハマる人にとっては、なければならない本に
なると思いますねぇ。合わない人にとっては、
二度と見たくない、という本に。
まずは一度お試しを。
テイストが違っても、猫を可愛いと思う気持ちは
私達とそう変わらないわけですから。
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ニャ夢ウェイ
松尾スズキ宅にやってきたかわいい雑種猫 オロチが主人公の爆笑猫コラム漫画。『BUZZ』『ロッキング・オンJAPAN』超人気連載に書き下ろしを加えて3年半分一挙放出!
次回は11月22日更新予定!次回も是非見てくださいね!