第88回 猫の怖い話アンソロジー「猫 ホラーセレクション」
こんにちは。えりかです。
木枯し吹きまくりの
肌寒い毎日ですが、
皆様どうお過ごしでしょうか。
早いもので、今年もあと一月を
残すばかりとなりました。
09年に忘れ物をしないよう、
気合を入れて過ごしましょう。
今回のえりかのコラムは
「猫 ホラーセレクション」の
ご紹介。ごゆっくりご覧ください。
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皆様は、怖い話はお好きでしょうか。
お好きな方はそのままで、
お好きじゃない方は、そっと
このページを閉じましょう。
いや、開いてても
全く構わないのですが、
途中で閉じたくなると思うなぁ。
いやでも、猫のお話だしなぁ。
それじゃ、こうしましょう。
怖い猫の話が嫌いな人は、
そっとページを閉じましょう。
はい。
閉じましたか?
怖い猫の話が苦手な方は
ページを閉じましたね?
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まだ迷ってる方にトドメの一言。
「鍋島猫騒動」
「エドガー・アラン・ポー」
この二つの名称を見ても、
おらぁ大丈夫だどんとこい、
という方だけ、この先に
進んでってくださいねぇ。
何が何だか分かりません、と
いう方。
目の前にある賢い箱で、
この二つの語句を検索してみて
くださいな。
はい。
雰囲気は掴めましたね。
今回のコラムは、こういう
雰囲気満載でお届けしたいと
思っておりますのでね。
引き返すなら今ですよぉ。
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さて、そんではいよいよ
本題に入ろうと思います。
怖い話というものには、
何故か昔から猫が好んで
使われますよね。
犬も使われないってことは
ないんだけれど、犬が出ちゃうと
大体はパニックホラー系に
なっちゃいます。
追っかけられる恐怖、というか
ドンガラガッシャンな恐怖というか。
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それはそれで怖いんだけれども、
ホラーに登場する猫が
演出するのは、体の芯から
震え上がらせてくれる、
背中がぞっと粟立つ様な恐怖。
作品を読み終わったあと、
いつもの何気ない暗闇、
例えば、真っ暗な家の階段や
その先に続く二階の廊下に
何かが潜んでいるような、
そんな気にさせてしまう、
後を引く恐怖。
そして、猫が持つ神秘性に
ホラー的味付けをして出来上がる、
独特の不気味さ。
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ちょっと思い出してみて
ください。
猫が空間を見つめて
じっとしている時。
何も無い空間に向かって、
呼びかける様に鳴いた時。
自分が飼ってる猫なのに、
どことなく不気味で、
薄気味悪い感じがしませんか。
周りの空気の質が変わって
いくような、部屋の隅から
じわじわと、そして確実に
何者かに侵食されていくような、
そんな感じになったことは
ありませんでしょうか。
それこそが、猫が持つ
神秘性の源であり、恐怖を感じる
素であるのです。
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そんなモノがたくさん
詰まったこの一冊。
「猫 ホラーセレクション」
古今東西、まさに古今東西の
猫にまつわる怖い話が
ぎゅぎゅっと詰まっております。
小説あり、漫画あり、
絵草紙あり。
上記で挙げた二つの語句、
覚えてますでしょうか。
「鍋島猫騒動」と
「エドガー・アラン・ポー」
(以下ポー)
鍋島の猫騒動は、昔から伝わる
有名な、日本の猫の怖い話。
そして、ポーはですね。
素晴らしく不気味な短編、
「黒猫」を書いた小説家。
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「猫 ホラーコレクション」には
この二つのお話も、もちろん
収録されています。
その二つが同居してるってだけでも
裸足で逃げだそうかな、と思うのに、
この本はまだまだあなたを
怖がらせたい様子です。
猫の怖い話数、総勢七話。
一話がそれほど長くないので、
読むのに肩がこりません。
しかしその分、読後には、
肩に何かがのっかってきたかの
ような、ずしんとした恐怖や
不気味さをひしひしと感じる
ことでしょう。
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可愛いのが猫。
見ていて和むのが猫。
いつも私達に笑顔をくれる猫。
こいつらには、まだまだ
隠された一面があるのです。
可愛いだけが猫じゃない、
神秘性と不気味さを
併せ持ってこその猫だ、と
思わざるをえないわけです。
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あ、そうだ。
怖い本は雰囲気たっぷりにして
読みたい方に朗報です。
この本、字が大きく読みやすく
なっております。
灯りを少し落として、薄暗くして
読むのもいいかもしれません。
ただし、その場合は
どうぞ背後にお気をつけて。
猫の様なナニカが、あなたを
じっと見つめているかも
しれません・・・。
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猫 ホラーセレクション
古今東西のホラーの傑作を、名作から落語、マンガまで収録。「飾り窓の猫(JET)」「黒猫(ポー)」「復讐の牙(曽祢まさこ)」「飢え(クリストファー・フェイ)」「内なる獣(マーガレット・マロン)」など、7編を収載。